特別免許状について2
特別免許状の制限
特別免許状には、取得した都道府県のみで有効という制限があります。これは、将来的に地元の都道府県に戻るとか、県を移る場合に非常にリスクがあると考えます。普通免許状を所持していれば、他県でも講師などで働くことができる可能性があります。しかし、他県で有効でない特別免許状では、また1から採用試験を受けて合格しないと教員になることができません。
ここでは、特別免許状を取得した後に、他の免許状を取得する方法について調べたことを記載します。
特別免許状取得後にその他の免許状を取得する方法
教員免許の制度として、上進というものがあります。これは、普通免許状(1種)や特別免許状を、専修免許状という大学院卒レベルの免許状にランクアップできる制度です。専修免許状になれば、都道府県の制限はなくなるので、全国で働くことができます。
・特別免許状から専修免許状へ上進する方法
必要な単位を大学院等で取得し、申請することで上進できます。
文科省のwebサイトに上進に必要な単位数等が記載されています。
高校の特別免許状を上進する場合、在職年数3年と、25単位の取得が必要です。25単位の内訳は、教職科目の単位が15単位、大学院での専門科目の単位が10単位です(これは申請する自治体によって異なるかもしれないので、要確認です)。
注意しないといけないのは、この単位は特別免許状取得後に取得した単位と定められているところです。もし、学生時代に教職等の一部の単位を取得していたとしても、この必要単位には計上できないということになります(もしそうでない情報をお持ちであればコメントください)。
・専修免許状へ上進後、他の校種の免許を取得する方法
上進は特別免許状の校種のみ可能です。例えば、東京都などは中高の免許を所持していることが、教員採用試験の前提条件になっています。中高一貫校は、近年公立でも増加傾向にあるので、高校のみや、中学のみ、の専修免許状を取得できたとしても、希望する自治体を受験することはできないかもしれません。
教員免許状には、隣接校種(高校と中学、中学と小学等)の免許状を取得する方法があります。これを使えば、専修免許状に上進後に、隣接校種の免許状を取得できます。こちらも上進と同じく、大学等での単位取得が必要です。
下記の明星大学のwebサイトによると、高校の普通免許を持っていて、中学の免許を取る場合、高校普通免許状取得(専修も普通免許状に含まれます)後に3年間の実務経験と、9単位が必要とされています。また、この時取得できるのは、2種免許となります。東京都などでは、普通免許状(1種、2種、専修)であれば種類は問わないようです。
免許法第6条「別表第8」による取得方法 | 明星大学通信教育課程
更に、中学2種免許から中学1種免許へ上進することもできます。この場合も経験年数と単位取得が必要です。
以上のように、高校の特別免許状を取得してから、中学の普通免許状を取得しようとすると、
・専修免許状 実務3年 +大学院での専門単位 + 教職単位
・中学2種免許状 実務3年 + 教職等単位
が必要になります。記載されている内容をそのまま取れば、実務経験は、それぞれ必要になるので、最低6年かかります。更に、大学院への入学(通信制もあります)と、教職単位取得のための大学への入学が2回必要になり、かなり費用的にも厳しいのではないかと思われます。教職の単位が使い回せるのであれば楽ですが、文科省のリンク先の文言等をそのまま受け取れば、教職の単位を何度も取得する必要がありそうです。
※もし、実際はその必要がないようであれば、コメント頂ければと思います。
・特別免許状取得後に普通免許状を取得する
結局、通信制大学等で、普通免許状を取得するのが一番早いかもしれません。中高の普通免許(1種)であれば、まとめて最短2年で取得可能です。ネックなのは教育実習の必要がある点です。中学の1種免許状取得には、3週間の教育実習が必要になります。すでに教員になっているわけですから、一から教育実習を受けるよりは楽でしょう。しかし、勤務先の高校を3週間休む必要があるため、学校の理解を得ることが必要になると想像します。