社会人から特別免許状で教員を目指すブログ

社会人から特別免許状取得により高校教員を目指すブログです。情報が少ないので自分が調べたり体験した内容を記載しています

特別免許状前提の教員採用試験

・教員採用試験

 免許状の種類によらず、公立学校の教員になるためには、各自治体で行われている教員採用試験に合格する必要があります。合格すると正規雇用のような状態になり、基本終身雇用です。普通免許状を持っている場合は、落ちた場合でも「講師登録」をして、年数期限のある講師として働くことができます。非正規雇用のイメージです。

 

 昨今、教員不足で教員採用試験の倍率が下がっていると言われていますが、主に小学校(1.〇倍とか)の話で、高校では~10倍くらいではないでしょうか。

 

 試験は1次試験と2次試験の2回が一般的です。

 1次試験は主に筆記試験で、教科専門、教職専門(+一般教養)、小論文等です。

 2次試験は主に個人面接、小論文、集団面接です。

 個人面接では以下の内容を含みます。

  模擬授業:授業の冒頭10分くらいを実演する

  場面指導:実際の学校の場面を想定した対応を実演

         (例:保護者が~と言っている、どう対応するか?)

 

 教員採用試験の内容は、各自治体の過去問がAmazon等で販売されているので、

それで傾向や方式を確認するといいと思います。

 

・特別免許状前提の教員採用試験

 特別免許状前提の教員採用試験で求められる能力ははっきりしていません。

 要項等に特に記載はありませんし、社会人経験があると言っても、どのレベルの人物が求められているか分かりません。下記の文科省のリンクに特別免許状の指針が記載されています。

特別免許状及び特別非常勤制度について:文部科学省

 

 これも踏まえ、以下に特別免許状取得に求められる能力の私見を記載します。

 ①学歴、実績

 ②人物、志望動機

 ③教科の知識

 ④教職の知識

 ⑤授業力

 ⑥指導力

 

 <①学歴、実績>

 特別免許状前提の試験の要項は、「民間企業等での経験が5年以上」といったものが多いです。教員は公務員で公共性があるため、細かい条件を要項に明記できないのかもしれませんが、どんな民間企業でも経験が5年以上あれば応募できます。全くハードルが分からない条件になっています。

 京都市は過去の採用者の例を示しており、博士号取得者、民間研究者・技術者(例としてJAXA理化学研究所等)が採用されているようです。これだけ見るとハードルはかなり高く、理数系なら「博士号取得同等レベルの経験」が必要と思われます。

 他の自治体では採用者の例が示されている場合を見つけられず、ハードルの高さはよく分かりませんでした。

 

 <②人物、志望動機>

 昨今の教員採用試験は人物重視と言われているようです。

 民間企業から教員を目指すわけですから、それなりに志望動機はしっかりしていると思います。一般の受験者に比べると、対話的に面接が進んでいく印象なので、自分が教員を目指す理由は理論的に準備しておく必要があります。 

 集団面接や個人面接の対応は、社会人経験のある方ならそれほど問題ないと思います。自分自身が高校に在籍していた時とは、教育の内容や目指すものが変わっている部分もありますので、文科省の学習指導要領等はチェックし、今の教員に求められていることを理解すべきと思います。それに対し、自分の経験がどう活かせるか話せるようにするといいと思います。

 

 <③教科の知識>

 特別免許状は高度な知識所持を前提としていますが、それは主に経歴から判断されているようで、自治体によっては、教科の筆記試験が免除されることがあります

 民間で得た高度な専門知識といっても、教科書のごくわずかの範囲を深掘りしている場合が多いかと思います。高校理科の教員採用試験の場合、「理科」としての募集のため、筆記試験は化学・物理・生物・地学の4教科全てから出題されます(問題はセンターレベルかと思います)。大学受験から時間が経っている中、高得点を取ることは難しいです。しっかり勉強してきた一般受験者は8~9割は当たり前に得点するようなので、社会人で働きながら筆記試験の勉強をして一般受験者に勝ることはかなり困難ではないかと思います。(私の場合7割得点+10点加点でも落ちた自治体がありました)

 もちろん、筆記免除の場合でも採用までには十分に教えられるように勉強しておくべきです。

 

 <④教職の知識>

 筆記試験では「教職専門」、「教職教養」のような名前の試験になっています。「教職教養」は教職+一般教養の試験です。教職の試験は、教育史、教育法規、教育原理といった内容と、文科省から発行された学習指導要領等の各種指針に関するもの、各地方自治体独自の教育目標や指針から出題されます。

 教職の試験も免除となる場合があります。教職は全く勉強したことがない方がほとんどだと思いますが、基本暗記で、ネット上に1問1答形式の問題集があったりしますので、コツコツやっていけばそれほど難しくはありません。まずはどんな問題が出されるのかの全体感をつかむことが大事かと思います。

 

 <⑤授業力>

 2次試験では模擬授業を課される場合があります。模擬授業は、試験日当日に渡された教科書〇〇ページの内容で授業する場合や、事前に範囲を渡されて当日までに内容を練っていく場合があります。通常の授業は50分程度ですが、試験は5~10分であり授業の最初の導入を行う場合が多いようです。

 導入の例:その日の授業内容の概要を日常生活と結びつけて話す等

 

 模擬授業に関しては色々な試験対策サイトで記載されています。特別免許状前提の場合、やはり経験を活かした導入をすることや、ICTを意識した授業が求められているのかなと思います。ただ、教育実習経験がありませんし、チョークや黒板を使うのも初めて、他の教員志望者との練習機会もない、という方がほとんどだと思いますので、一般受験者と比較するとかなりレベルは低くなるのではないかと思います。

 

 前述の文科省の指針を見ても、特別免許状前提の場合、「指導技術等について知識経験等を有していないことが指摘されるが、趣旨としては普通免許状所持者とは異なる知識経験を評価する」と記載があります。この指針からすると、授業力がないのはしょうがない、と見られるのかもしれません。ただ、実際には1年目から授業をするわけですから、授業力は求められるのかなと思います。

 ここも求められている能力がはっきりしない点の1つです。

 

 <⑥指導力

 面接の中で場面指導を行う場合があります。例えば、遅刻してきた生徒に対しどのように指導するかや、進路指導のHRで生徒に何を話すか等を聞かれます。基本的に答えがないですし、教員採用試験はその場のアドリブで実施する必要があるので、ある程度事前に場面を想定した準備が必要です。

 教員として言ってはいけないこと、やってはいけないことが(体罰等)あるので、試験対策サイト等で確認することをおすすめします。

 

次回は「企業在籍中の教員採用試験受験」についてです。